デュシャンの「泉」。1917年作。男性用便器を逆さまにしたものです。
「レディ・メイド」と言って、既成の実用品を本来の用途・目的から切り離して、新たな意味や題名を付けて作品としたものです。この作品は史上初のレディ・メイド作品として有名です。まず、「なぜ、これがアートなの?」と疑問をもつと思います。かつてニューヨーク近代美術館の美術館教育プログラムの専門家だった、アメリア・アレナスの言葉にはこうあります。
「芸術的なものからもっともかけ離れた便器を鑑賞するときに起こる様々な疑問や反応を確認し、その理由や答えを見つけ出そうとすることで、私たちのなかに芸術的知覚力が徐々に生じてくるのである。
公衆便所はまるで展示室の内部のように、個性も無駄も一切なく、無機質でしかも機能的だ。このような場所で用を足す男たちの行為は、美術館で作品を鑑賞することととても似ている。すなわち公共の場で行う個人的な体験、他人のかたわらで、壁に掛けられた作品をじっと見つめるごとく、壁に備えつけられた便器の前に立って(たいていはそれを見ながら)行う行為。この作品には、これだけでもかなり巧妙なアイデアが込められている事が分かる。」
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